2022/02/24

空の緑 用語集 3

 ”ヴェルデ・シエロ”の超能力


10. ナワル

ジャガーやオセロット、マーゲイなどのネコ科の動物に変身する能力、または変身した姿を表す言葉。
ナワルを使えない”ヴェルデ・シエロ”は”ヴェルデ・シエロ”にあらず、と言われる神聖な能力。
ナワルを使える”ヴェルデ・シエロ”は”ツィンル”(人)と呼ばれる。使えない者を人扱いしない思想が窺え、若者達は”ツィンル”と言う単語を使いたがらない。
ナワルは純血種なら成年に達する頃に自然に変身出来るようになるが、異人種の血が入ると精神的に大きなプレッシャーを与えられなければ変身のきっかけが掴めない。また、超能力の強さによってナワルの大きさも変わる。強い力を持つグラダ、ブーカ、オクターリャ、サスコシ、マスケゴ族はジャガー、カイナ族はオセロット、グワマナ族はマーゲイと認識されているが、個人差があるので必ずしもそうなるとは限らない。また、部族に関係なく稀にピューマに変身する者が生まれる。
男性のグラダ族のナワルは黒いジャガーである。
滅多に生まれないが、白い体毛のナワルを持つ者もいる。古代、白い動物は「聖なる生贄」として神に捧げられていたので、現代でも白いナワルを持つ者は決して他人に己のナワルを見せない。
”ヴェルデ・シエロ”は成年になったことを証明する成年式で親、部族の長老、族長の前でナワルを披露する。その為に、長老会は全国の”ツィンル”を把握している。もし長老会に存在を知られていない”ツィンル”がいれば、異端と見なされ、”砂の民”の狩りの対象とされるので、親は必ず子に成年式を受けさせる。
ナワルは全身の細胞を変化させるので、変身を解いて人間に戻ると酷い疲労感に襲われ、丸一日眠りこけてしまう。





11. 念力

特に名前がついていない能力で、物体を手を触れずに動かす力。幻視と同様に誰でも使えるが、親に教えられて使えるようになる能力。動かせる物体の大きさは能力の強さに比例する。時に爆裂波と共に使用されることもある。


12. 読心

相手の目を見て思考を読み取る一種のテレパシー能力。
心話が思考のやり取りが出来る能力であるのに対し、読心は一方通行である。従って、相手を尋問する場合に使用する。或いは相手が普通の人間である場合に用いる。セルバ人は”ヴェルデ・シエロ”に心を読まれることを恐れて、昔から会話相手の目を見ないマナーを作り上げた。
相手に不意打ちで名前を呼んで返事をさせ、目を合わせて強引に読心を行うことを「心を盗む」と言う。この場合は相手の思考全てを読み取ってしまうので、読まれた側は急激な負担を脳に与えられ、気絶する。


13. 感応

”ヴェルデ・シエロ”は遠くにいる仲間とテレパシーで対話する能力を持たないが、危機に陥った時や仲間に呼びかける時に精神波を出す。呼ばれた側はそれを感じ取るが、返事は出来ない。


14. 霊視

”ヴェルデ・シエロ”は死者の霊を見ることが出来る。但し、霊と対話する能力はない。この能力は主に女性に多く発現する。
 悪霊や神霊を見たり、捕まえたりする能力は、修行を積まなければ身につかない。


15. 守護

”ヴェルデ・シエロ”が自分達の存在意義として最も重視する能力。
文字通り、災害から人や町を守る。具体的に何をすると言うものではなく、漠然と悪いことが起こらないように守る、と言う曖昧なものだが、一般のセルバ人が”ヴェルデ・シエロ”に祈るのは正にこの力を求めているからである。

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