テオはセルバ野生生物保護協会のロバートソン博士の携帯電話にかけてみた。協会は日曜日なので休みの筈だ。ロバートソン博士はまだ朝の家族団欒で食事中だった。電話の向こうから聞こえる物音に、テオは悲しい要件でかけたことを後悔した。
簡単に挨拶してから、彼は尋ねた。
「オラシオ・サバン氏は、アマン地区の出身でしょうか?」
ロバートソン博士はちょっと驚いた。
ーーそうです。どうしてご存知なのですか? 彼の家族にお会いになったのですか?
「ノ、会うのはこれからになりますが、先に確認しようと思いました。彼はもしかするとお守りを持っていませんでしたか? 女神アマの迷子防止のお守りを・・・」
するとロバートソン博士の声が震えた。
ーー彼は、ええ、いつも持っていました。小さなコインの形のお守りで、ネックレスのヘッドにして首から下げていました。
テオが数秒間黙り込むと、彼女は急かすように質問して来た。
ーーお守りを見つけたのですか? どこにありました? サバンは無事ですか?
テオは深呼吸した。
「まだ確定した訳ではありませんが、サバン氏ではないかと思われる遺体を発見しました。」
ーーどこで?!
「コロン氏の遺骨が発見された場所から1キロほど南へ入った森の中です。まだ大統領警護隊が調査中ですが・・・」
ーー憲兵隊ではなく、大統領警護隊が見つけたのですか?
「スィ。」
ロバートソン博士の啜り泣く声が聞こえた。大統領警護隊が見つけたのなら、それは本当にサバンなのだろう、と思ったに違いない。
テオは彼女が落ち着くのを待って、言った。
「お守りをサバン氏の家族に見せて確認したいのですが、会えるでしょうか?」
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