2024/11/06

第11部  太古の血族       11

  ケツァル少佐は仲間を3つのペアに分けた。
 テオとロホは1組。神殿周辺の情報を集めると言う役目を与えた。テオは、己は白人だから難しいと抗議したが、無視された。ロホは親戚から当たって行きます、と答え、テオは彼が兄の本当の身分を知ってしまうのではないかと、ちょっと心配になった。
 アスルとギャラガのサッカーペアは2組。グラダ・シティ市内から郊外まで医療関連の施設を調べて、ロアン・マレンカが治療を受けていないか探す。町医者や薬屋も含めると聞いて、アスルはバスコ医師の診療所を、ギャラガはカダイ師の薬屋を思い浮かべた。
 少佐はデネロスを連れてエダの神殿に行ってみる、と言った。デネロスがちょっと不安そうな顔をした。一般人が近づけない神殿だから、大統領警護隊と言えども迂闊に入れないのだ。

「神官達はまだそこにいるのですか?」

 彼女の質問に、少佐は自信なさげに頷いた。

「帰って来たと言う情報はまだありませんから、あちらでウダウダ会議をしているのでしょう。」

 アスルは携帯で市内の地図を出した。

「私達は地区毎に順番に回ってみます。 ”ティエラ”の医者なら尋問は簡単ですが、一族の血が入っている医者はちょっと厄介です。」
「もし大神官代理が隠れて治療を受けるなら、”ティエラ”の医者の方が秘密を保てるんじゃないですか?」

とギャラガが先輩に意見した。アスルはムッとした表情で彼を見たが、反論しなかった。

「それは言えるな。難病なら、腕の良い医者にかかるだろうし、それなら”ティエラ”の医者の方が最先端の医療技術を持っているだろう。」

 いかにも現代っ子の”ヴェルデ・シエロ”だ。
 テオはロホを見た。

「俺達はどこから手をつけるんだ?」

 ロホは考えた。

「私の家族から・・・一番秘密を抱えていそうですからね。」

 テオは作り笑いをした。

「そうか・・・やっと君の家族を紹介してもらえるんだな。」


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第11部  太古の血族       27

  エダの神殿は、グラダ・シティから北西へ行った場所にあり、アスクラカンとグラダ・シティ、エダを線で結ぶとほぼ正三角形を形作った。北部の乾燥地帯に近いので、森の樹木は低く細い。住民は海に近い地帯に住んでいるので、少し内陸になるエダは耕地にもならず昔から手付かずの自然が残されていた...