最初はシャンペンで乾杯した。シーロ・ロペス少佐が招待に応じてくれたテオとケツァル少佐に感謝を述べ、それから客を招くことを許可してくれた父親に敬意を表した。それでテオもお招きに対する感謝を述べた。
「ところで、今日は何かのお祝いなのかな? 今ここで訊いても良いのかどうか知らないけど。」
彼がそう言うと、驚いたことに、パパ・ロペスも言った。
「儂も知りたい。お前達は何を企んでいるのだ?」
シーロ・ロペスが珍しく頬を赤らめた。彼が助けを求めるように妻を振り返ったので、アリアナが苦笑して、そして答えた。
「私達、子供を授かりました。今、3ヶ月です。」
ほほーっとパパ・ロペスが声を上げ、ケツァル少佐が立ち上がってアリアナの席に駆け寄った。
「おめでとう!」
「グラシャス!」
テオも思わずロペス少佐の手を掴んで激しく揺さぶった。
「おめでとう! 遂に父親になるんだな!」
ロペス少佐は照れてしまい、小さな声で「まだ生まれていません」と呟いた。テオはパパ・ロペスにも祝辞を告げ、握手した。アリアナがテオに囁いた。
「素直に喜んでくれるのね?」
「当たり前じゃないか!」
テオは彼女の前に立った。ケツァル少佐から彼女の前の位置を譲ってもらい、義妹を抱きしめた。
「血は繋がっていなくても、君は俺の可愛い妹なんだ。君に子供が出来たら、俺の甥や姪になるんだよ。俺は伯父さんになれるんだ!」
「シーロと私の子供・・・」
「どんな子供だろうと、素晴らしい子供に決まってるさ!」
彼は改めてロペス少佐を振り返った。
「守るべき者が増えますが、貴方も体を大切にして下さい、少佐。」
するとロペス少佐が言った。
「今日からシーロと呼んで下さい。私も貴方をテオと呼びたい。」
テオは思わず堅物の少佐を抱きしめた。
「俺の弟だ!」
ケツァル少佐はそれを微笑みながら見ていたが、彼女の耳にパパ・ロペスが何やら囁くと、頬を赤らめた。
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