「その”サンキフエラの心臓”と呼ばれる石ですが・・・」
テオは微かに抱いていた疑問を初めて口に出した。
「”ヴェルデ・シエロ”には効かないと聞きましたが、それは”ツィンル”限定でしょうか? それとも遠い祖先に”ヴェルデ・シエロ”がいる現代の”ティエラ”にも効果はないのでしょうか?」
ウイノカ・マレンカがピクリと眉を動かした。
「ミックスに効果があるかないかと言うことですか・・・」
彼は腕組みした。
「うーん・・・うっかりしていました。そこまで我々は考えていなかった。」
「厨房スタッフは全員”ティエラ”だと聞きましたが、純血の”ティエラ”だったのでしょうか。」
「それが問題です。」
彼は腕を解いた。
「少なくとも一族と認められた人がスタッフに入っていたのかどうか、確認していないと思います。採用する時に出自まで詳細に調べたりしません。その人自身の過去の履歴や人柄、料理の腕前を見るだけだと思います。先祖を遡って調べるなど・・・」
彼はテオに正面を向けた。
「貴方の言葉で、犯人の目的が一つ分かったような気がします。」
「石の効果がミックスにも効かないのか、どの程度の血の濃さまで駄目なのか、調べたかった・・・」
「それがどう言う意味があるのか、まだ分かりませんが、私はこれから神殿に戻って、厨房スタッフの身元をもっと詳細に調べてみます。」
ウイノカ・マレンカはテオに丁寧に別れの挨拶をして、素早く駐車場の片隅に置いてあった自転車に乗ると走り去った。
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