2025/01/16

第11部  内乱        3

 男性の姿が小さな部屋の反対側の壁際に立っていた。神官だ。大昔の壁画の様な裸に装飾品を付けた姿ではなく、白いざっくりしたチュニックに褐色のズボンをはいた服装で、神官であることを示す幅広のネックレスを首から掛けていた。彼はケツァル少佐を認めると声を掛けてきた。

「結界を破ったのは君か?」
「スィ。」

 少佐は相手が発する微かな気を読み取った。

「貴方が結界を張られたのですね?」

 その質問には答えず、彼は少佐の後ろを目を細めて見た。

「女達がきている様だが、ここは女人禁制だ。」
「現代的ではありませんね。」

 少佐は階段から離れ、前に数歩進んだ。

「神官達が神殿に集まり、次期大神官代理の選出方法を話し合われていると推測しますが、結界を張る必要があるのでしょうか。それも神殿の外に。」

 キロス中尉が少佐の横に来た。

「我々を遠ざける理由をお聞かせください、 カエンシット様。」
「中尉・・・」

 神官が溜め息をついた。

「君達を遠ざけたのではない、同僚を外に出さないようにしたのだ。」
 

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第11部  内乱        3

 男性の姿が小さな部屋の反対側の壁際に立っていた。神官だ。大昔の壁画の様な裸に装飾品を付けた姿ではなく、白いざっくりしたチュニックに褐色のズボンをはいた服装で、神官であることを示す幅広のネックレスを首から掛けていた。彼はケツァル少佐を認めると声を掛けてきた。 「結界を破ったのは君...