「信用出来ない?」
アスマ神官とカエンシット神官がキロス中尉をキッと睨みつけた。キロス中尉は目を合わさずに言った。
「世襲派が危険だとは、我々は感じません。でもあなた方は世襲派をここに閉じ込めようとしていると仰った。何故そんなに警戒なさるのです?」
するとマリア・アクサ少尉が中尉の考えをさらに詳しく言葉に表した。
「本当はあなた方が世襲派ではないのですか? そして大神官代理に呪いをかけたことを他の神官に知られて、外部に報告されないよう、ここに閉じ込めているのでは?」
2人の神官が目に力を込めた、その瞬間、同時に神殿近衛兵達が力を集結させた。
2人の神官は跳ね飛ばされ、床に転がった。アスマ神官が怒鳴った。
「人に向けて爆裂波を使ったな!」
「跳ね飛ばしただけですよ。」
とケツァル少佐が言った。
「これは大統領警護隊に認められている自衛手段に過ぎません。あなた方の細胞に何も危害を与えていない筈です。」
「神殿近衛兵は・・・」
とキロス中尉が湧き上がる感情を抑えながら言った。
「神殿内部の不穏分子を排除する枠割を担っています。究極の場合は脳への攻撃も行います。どうか、抵抗しないで頂きたい。」
外から神殿に不穏分子が侵入するのを防ぐのは大統領警護隊警備班の役目だ。しかし内部で芽生えた不穏分子を排除するのは神殿近衛兵の仕事だった。
「ここへ連れてきた護衛が女性ばかりなのは奇妙だと思っていました。」
とキロス中尉は腹立たしげに言った。
「万が一我々があなた方の思い通りに動かなくても、女の力なら制することが出来ると思ったのではないですか?」
「女を舐めてるわね。」
とデネロス少尉が呟いた。
ナカイ少尉が上官の任務遂行を待ちきれずに尋ねた。
「あなた方の仲間は他に誰がいるのですか?」
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