互いの情報を交換し合った。テオと男性隊員達は少佐の報告を聞いて、先刻のムリリョ博士の言葉の裏付けを取った気分になった。少佐の方はムリリョ博士の言葉を聞いて、硬い表情になった。無理もない、まだ9人の神官の中に、3人の反乱分子の仲間がいるとムリリョ博士は言ったのだから。
「長老会はその隠れている世襲派の神官が誰か、見当をつけているのですね?」
「博士は俺達の質問に答えてくれなかった。しかし、あの人と長老会のことだ、きっと何か確信があるのだろう。」
するとロホが思いがけない発言をした。
「”名を秘めた女の人”は、我々の頭の中を読めるんですよ・・・」
テオ、少佐、アスル、そしてギャラガが彼を見た。ロホは続けた。
「あの女性は声ではなく心で会話をされます。だから、こちらの頭の中を全部読まれるのです。もし世襲制を考えている神官やその仲間が良くない連中だと、彼女が判断したら、長老会に彼女が不穏分子の排除を命じる・・・そうではないですか、少佐?」
ケツァル少佐が頷いた。
「スィ・・・もしかすると、彼女は大神官代理が世襲派に襲われた時から、神殿内の不協和音に気がついていたのかも知れません。でも彼女は具体的に何をすべきか、すぐには判断出来なかったのでしょう。世俗のことは何もご存じない方です。誰に命じるべきか、何を命じるべきか、考えてしまい、時間が経ってしまったのだと推測します。」
「そしてやっと長老会に事態を教えた?」
「恐らく・・・隠れた世襲派の神官は”名を秘めた女の人”の力を忘れていたことに気がついたかも知れません。悪くすると・・・」
テオはハッとした。
「”名を秘めた女の人”が狙われる?」
彼はロホを振り返った。
「ロホ、ウイノカ兄さんに連絡を取れるか?」
ケツァル少佐が電話を出した。彼女が誰かにかけた。
「キロス中尉? 神殿に出られましたか? すぐに”聖なる部屋”へ行けますか?」
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