2022/03/06

第6部 水中遺跡   1

  文化・教育省はグラダ・シティの市街地にある雑居ビルに置かれている。2階から4階が省庁だ。2階には芸術振興課と文化・教育大臣のオフィスと大会議室がある。
 その日の午後、シエスタが終わってから、大会議室で文化財遺跡担当課と大統領警護隊文化保護担当部が会議を開いていた。会議室の前面のスクリーンにプロジェクターで映し出された写真が出席者の注目を集めていた。

「クエバ・ネグラから1キロ沖の海底で発見された古代の建造物と思われます。」

とサン・レオカディオ大学の考古学教授リカルド・モンタルボが青い海底の一角をポインターで示した。サン・レオカディオ大学は私立の大学で文学部と歴史学部しかない小さな大学だ。そこで考古学を研究すると言うことは、常に資金難に悩んでいることを意味する。セルバ共和国は政策で遺跡保護を重視している稀な国だが、助成金の殆どがセルバ国立民族博物館と国立のグラダ大学考古学部に出されていた。私立の学校が助成金をもらえるのは、義務教育関係と医学・自然科学分野が優遇されており、文化系はちょっと分が悪い。サン・レオカディオ大学は裕福な家庭の子供達が通っているので、寄付金でどうにかやっていけているが、今回の考古学の研究費は助成金をもらわないと賄えないものだった。
 スクリーンの写真が拡大された。海底に平らな岩の板が綺麗に整列して横たわっていた。

「恐らく8世紀前半にセルバを襲った大地震で海に沈んだと言われているカラコルの街の一部ではないかと・・・」

 モンタルボ教授はさらに10枚ほどの写真を次々と映し出した。

「カラコルは伝説と思われていましたが、海底にある人工物が遺跡であるなら、調査が必要と思われます。」
「つまり、潜水して調べると?」

 文化財遺跡担当課の課長が尋ねた。モンタルボが頷いた。

「勿論です。」
「水中遺跡の調査の費用がどれだけかかるか、ご存じですか?」
「それは・・・」
「地上の同じ規模の遺跡を調査する10倍以上の資金が必要ですぞ。」
「勿論、船と潜水用具と・・・」
「保険もかかります。それに潜水時間は長くない。1回何時間ですか?」
「半時間? ですかね?」
「それで、1人1日何回潜れますか?」
「えー、2回、いや、3回・・・」
「2回です。調査員の安全の為にも、2回とします。」
「それでは調査が進まない・・・」
「だから日数がかかります。費用が嵩みます。10倍では済まないかも知れない。」

 文化財遺跡担当課は、水中遺跡の調査に助成金を出し渋っているのだ。地上の遺跡なら、助成金を出すのではなく、協力金と言う名目で調査隊の方が文化・教育省にお金を払う。水中遺跡の調査も協力金をもらうが、それより調査費の助成の方が大きくなる。採算が取れないので、文化財遺跡担当課は今回の調査に乗り気でない。
 大統領警護隊も同じだ。ジャングルや砂漠の遺跡調査ならゲリラや山賊から調査隊を護衛して、盗掘を見張るのだが、水中遺跡の場合は調査隊が出土品を盗まないか、港で検査するだけだ。海でサメや海賊を相手にしたりしない。それは沿岸警備隊の仕事だ。遺跡立ち入り許可を出しても協力金は地上遺跡の半額になる。文化保護担当部が調査隊に請求する協力金は、護衛を実際に担当する陸軍兵に支払う日当と陸軍に払う手間賃だ。手間賃は定額だが、日当は地上遺跡の半額になるので陸軍が良い顔をしない。兵隊を丸一日港で待機させるだけでお金も半分しかもらえないからだ。

「船や装備の準備を整えられると明確に証明出来れば、助成金の申請を出してもらって結構ですが・・・」

と文化財遺跡担当課の課長は言った。

「現段階では予算も立てておられないようだし、国から助成金を出す理由がありません。」
「スポンサーを探されては?」

と課員の中から声が上がった。

「国外から地上遺跡を発掘に来る調査隊はスポンサーを持っていますよ。」
「船舶会社や海洋事業に携わる企業に声をかけてみるのですね。」
「観光業者でも良いのでは?」

 お役人達から次々と現段階での助成金捻出は無理と言う意見が上がった。モンタルボ教授は、この会議の顧問として出席しているグラダ大学考古学部のンゲマ准教授に助けを求めるように顔を向けた。しかしンゲマ准教授はとろんとした眼差しで、スクリーンに映っている海底の石畳らしき物を眺めているだけだった。
 課長が大統領警護隊の席に顔を向けた。

「大尉のご意見は?」

 大統領警護隊文化保護担当部を代表して出席していたアルフォンソ・マルティネス大尉は協力金計算表から顔を上げて、一言呟いた。

「却下。」

 モンタルボ教授の顔がベソをかいたようになった。尤も大統領警護隊が文化財遺跡担当課から申請拒否が出た案件を通す筈がない、それは誰もが承知していた。文化財遺跡担当課の承認ありきで大統領文化保護担当部は発掘許可を出すのだ。文民の決定を軍が覆すことは決してない。平時なのだから。
 モンタルボ教授はノロノロと後片付けを始めた。プロジェクターの電源を切り、スクリーンを片づけ、書類を鞄に入れた。文化財遺跡担当課の職員達は既に席を立ち、大会議室から退出しつつあった。
 マルティネス大尉、通称ロホは誰よりも最初に部屋から出た。大概は文化財遺跡担当課だけで済ませる発掘検討会だが、今回は珍しい水中遺跡が案件となっていたので様子を見るために出席したのだ。彼個人としては水中遺跡に興味があったが、サン・レオカディオ大学は助成金が出るか出ないかを知りたかった様で、まだ具体的な調査計画も立ち上がっている様子がなかった。だからロホは内心がっかりしていた。船に乗ったことも潜水をした経験も皆無だが、海中の美しい画像を見るのは好きだ。調査をするならモンタルボ教授は記録映像を撮る筈だし、それを見てみたかった。だが実現は遠い話になりそうだ。
 ンゲマ准教授が彼の後ろからゆっくりと退室して来た。モンタルボとは知り合いの筈だが、失意の教授を慰めるほどの仲でないのかも知れない。それに国立大学の教授陣は私立大学の教授達とあまり交流がなかった。国の最高学府で働いているプライドがある。同国人の考古学者より外国の学者と連んでいる方が好きなのだろう。ンゲマ准教授はフランスの大学に顔が効くのだが、近年フランスの調査隊達は発掘中の事故や犯罪に巻き込まれてセルバ国内での印象が良くない。だからンゲマ准教授としては、名誉挽回も兼ねてフランス人にもっと活躍の場を提供したいのだ。
 ロホにとってンゲマ准教授は恩師ではない。彼の恩師のケサダ教授がンゲマを助手から准教授に引き立てたのは、彼が卒業した後だ。ンゲマはヴェルデ・シエロではないし、身内にも一族の血縁者はいない様なので、ロホはこの男性と馴染みがなかった。
 階段のところで、ロホは上へ、ンゲマは下へ向かう。2人は一瞬目が合った。礼儀としてンゲマ教授は素早く目を逸らし、無言で会釈して階段を降りて行った。

2022/03/05

空の緑 軍事用語 

作者は軍隊に詳しくないし、戦争も嫌いなので、あまり用語は出て来ません。


 1. アサルト・ライフル

実用的な全自動射撃能力を持つ自動小銃。
アサルトライフルとは、小型化あるいは弱装化された銃弾を使用し、セミ/フルオートの切り替え機能を有する軍用銃である。これらは軽量かつ持ち運びやすく、現代的な戦闘距離すなわち300 - 500m程度の範囲で十分な精度と高い火力を発揮する。そのため、近代的な軍隊における標準歩兵用火器として第二次世界大戦期の高威力なボルトアクション式小銃および自動小銃を置換した。(ブリタニカ)
大統領警護隊がどこの製品を採用しているのかは不明。


2. M M G

中機関銃。
軽機関銃と重機関銃の中間の機関銃である。7.62×51mm NATO弾や7.62×54mmR弾などの大口径の小銃弾を使用する、ベルト給弾式の機関銃である。多くは空冷式で、通常、中隊や大隊で運用される。軽機関銃よりも持続射撃能力、火力、安定性に優れ、重機関銃よりも運用に柔軟性がある。


3. C Q B または C Q C

近接戦闘。
非常に短い距離で複数の戦闘員の間に生じる、銃器の使用を伴う物理的な戦術的戦闘である。


4. 迫撃砲

簡易な構造からなる火砲で、高い射角をとることから砲弾は大きく湾曲した曲射弾道を描く。 少人数で運用でき操作も比較的簡便なため、砲兵ではなく歩兵の装備であることが一般的で、最前線の戦闘部隊にとっては数少ない間接照準による直協支援火器の一つである。



5. フォース・リコーン

アメリカ海兵隊武装偵察部隊

空の緑 人物紹介 8

 テオの関係者達  部別


第5部

アーロン・カタラーニ

イタリア系メスティーソ。 グラダ大学大学院生物学部遺伝子工学専攻。テオの研究室の助手。


イサベラ・ガルドス

スペイン系メスティーソ。 グラダ大学大学院医学部遺伝病理学専攻。アリアナ・オズボーンの教え子でテオの教室に通っている。


マリア・センディーノ

白人。 サン・セレスト村の診療所の医師。
夫に先立たれ、子供達はグラダ・シティへ出ているので、一人暮らし。テオと2人の院生の面倒を見てくれた。


カロリス・キロス

ブーカ族。 大統領警護隊太平洋警備室指揮官中佐。
3年間謎の鬱病状態で業務放棄の状態が続いていた。
彼女の部下への片恋が事件を引き起こし、さらにテオが記憶を失ったエル・ティティのバス事故の原因を作った。
事件解決後、中佐の地位を保ったまま退役した。


ホセ・ガルソン

ブーカ族。 大統領警護隊太平洋警備室指揮副官、大尉。
オエステ・ブーカと呼ばれるオルガ・グランデに住み着いた部族。
キロス中佐の回復を信じ、本部には彼女は健康だと嘘の報告を続けていたが、カルロ・ステファンが転属してきたことにより、嘘がバレた。テオとステファンと共にキロス中佐の異常の原因を探った。
事件解決後、虚偽報告と職務怠慢を咎められ、本部警備班車両部に転属、中尉に降格となった。 アカチャ族(ヴェルデ・ティエラ)の妻と2人の子供達は転属となった彼について来てくれた。


ルカ・パエス

ブーカ族。 大統領警護隊太平洋警備室所属中尉。
オエステ・ブーカ出身。
無骨な男だが、キロス中佐には忠実だった。
ガルソンと共に本部に嘘をつき続けた為に、事件解決後、北部国境警備隊に転属、少尉に降格された。アカチャ族の妻と妻の連れ子がその後どうしたのかは不明。


ブリサ・フレータ

カイナ族。 大統領警護隊太平洋警備室所属少尉。
着任後10年近くひたすら厨房係として勤務した。
ガルソン、パエスと共に本部に嘘を突き通したが、一番格下だったので、事件解決後降格はなし。南部国境警備隊に転属となり、厨房係(収容される密入国者の世話もある)で頑張っている。


ホセ・ラバル

マスケゴ族とカイナ族のハーフ。 大統領警護隊太平洋警備室少尉。
25年間少尉のまま、港の警備に当たっていた。
同性愛者で、アスクラカンで恋人と会っているところをキロス中佐に目撃され、非難された。中佐と口論になり、事件の発端となる大罪の当事者となってしまった。
事件解決後、大統領警護隊本部地下の牢獄で終身禁固刑に処せられた。


アダン・エルムス

白人。 アンゲルス鉱石、ポルト・マロン営業所所長。
テオが抱いた印象ではレイシスト。


ホセ・バルタサール

アカチャ族の男性。 アンゲルス鉱石、ポルト・マロン営業所現場監督。
3年前アンゲルス鉱石(当時はエンジェル鉱石)が従業員の血液をアメリカ人に売却した情報をラバル少尉に内部告発した。


バルセル

白人。 エンジェル鉱石で産業医をしていた。
エンジェル鉱石とアメリカ国立遺伝病理学研究所の仲介をしたと考えられている。
エル・ティティのバス事故で死亡。


ディンゴ・パジェ

サスコシ族。 アスクラカンに住む純血至上主義者の家系の息子。
ホセ・ラバルの恋人。
ラバルとの逢瀬をキロス中佐に目撃され、口論となった。
気の爆裂で彼女を打ちのめしてしまい、大罪を犯したことに恐れ慄く。
彼女の要求を受け入れ、車で路線バスを追いかけたが・・・


ミラネス

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。
オルガ・グランデ市役所文化財保護課の職員。
テオとケツァル少佐は”砂の民”が使う情報収集係”目”か”耳”だと疑うが、ケサダ教授は「ただの市役所の職員」と言い張った。


2022/03/04

空の緑 人物紹介 7

  テオの関係者達  部別


第4部

アウマダ大佐

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。 憲兵隊グラダ・シティ南基地所属。


ムンギア中尉

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。 憲兵隊グラダ・シティ南基地所属。
アウマダ大佐の部下。


ホセ・カルロス

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。 エル・ティティの町の会計士。
テオの手伝いを当てにしている。


長老(長身の男性)

カルロ・ステファンを「黒猫」と呼ぶ人。
身体能力に優れている。


長老(背が低い男性)

木登りは問題ないが、下りるのは苦手。


長老(女性)

ケツァル少佐は彼女の正体を知っているらしい。


エウリオ・メナク

イェンテ・グラダ村の生き残りの半グラダ。 カルロ・ステファンの母方の祖父。


ヘロニモ・クチャ

イェンテ・グラダ村の生き残りの半グラダ。 
オルガ・グランデの金鉱山で落盤事故が発生した際に気の爆裂を使って鉱夫達を救った。
その為に正体がバレて世間から姿を消した。


マレシュ・ケツァル

イェンテ・グラダ村の生き残りの半グラダ。
マルシオ・ケサダと改名し、男性として暮らしていたが、ムリリョ博士と出会った時、幼い息子がいた。息子をムリリョに託し、ヘロニモ・クチャ死去の後姿を消した。
息子の父親が誰なのか、彼女にもわからなかった。


エルドラン

ブーカ族。 大統領警護隊司令部 副司令官。
トーコ中佐と交代で副司令官の職務に就いている。 厳格で聖職者の様だと隊員達から囁かれている。


チュス・セプルベダ

ブーカ族。 大統領警護隊遊撃班指揮官少佐。
少々ずんぐりした体型だが、超能力知力体力共に優れていることは言うまでもない。
カルロ・ステファンに指導師資格取得の指導をした。
ケツァル少佐のユーモアのセンスが理解出来る。


ビダル・バスコ

ブーカ族とジャマイカ人のハーフの母と、ブーカ族とヴェルデ・ティエラ・メスティーソのハーフの父との間に生まれた。 
大統領警護隊警備班所属少尉。 大統領警護隊で唯一のアフリカ系隊員。
一卵性双生児の弟に制服とI Dを無断借用された上に、弟を何者かに殺され、テオとケツァル少佐に助けを求めて来た。


ビト・バスコ

ビダルの一卵性双生児の弟。
グラダ・シティ憲兵隊曹長。
兄の制服とI Dを無断で持ち出し、何者かに殺害された。遺体の全身にピューマの爪と牙でつけられた傷が無数にあったが、致命傷は刃物で肝臓を刺されたものだった。


ピア・バスコ

ビダルとビトの母親。
ブーカ族とジャマイカ人のハーフ。 市街地で診療所を開いている医師。
愛息の遺体の検死を行った。
息子達の父親とは離婚(彼は既に病死している。)して、ヴェルデ・ティエラのメスティーソの男性医師と同居している。彼氏にはヴェルデ・シエロであることを隠している。


アンパロ・モントージャ

ビト・バスコ憲兵隊曹長が夢中になった女性。ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。
レストラン・セルド・アマリージョでウェイトレスをしていた。


ブルノ

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。 レストラン・セルド・アマリージョのバーテンダー。


ぺぺ・ミレレス

グラダ・シティの不良グループ・ペロ・ロホの構成員。
アンパロの恋人。 ビト・バスコ憲兵隊曹長を殺害した為に、”砂の民”に粛清された。


ラファエル

不良グループ・ペロ・ロホのリーダー。 プールバーを経営している。


モントージャ

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。
セニョール・シショカの屋敷に住み込みで働いている使用人。
娘アンパロの素行の悪さに手を焼き、主人に相談した。


ロジャー・ウィッシャー

アメリカ人のセールスマン。白人。
20年前に行方不明になった父親を探していると言って、テオに近づいた。
その正体はフォース・リコーン・中米戦略部隊所属、大尉。
亡命したテオの研究内容を探っていると判明したので、大統領警護隊が動くことになった。
容姿がアンドレ・ギャラガに似ていたので、テオとアスルは彼がギャラガの親族であればギャラガを奪われるのではないかと危惧した。
本名はロジャー・ウィンダム。
*フォース・リコーン・・・アメリカ海兵隊武装偵察部隊


アンヘレス、アンヘリカ、アンヘリナ、アンヘリタ

ヴェルデ・シエロの女の子4人姉妹。
アンヘレスは10代と思われる。
アンヘリタは4、5歳と考えられる。
テオは昼寝をしていたので、父親の声だけ聞いている。


アンドリュー・ウィッシャー

アメリカ人。
20年前にグアテマラで消息を絶ったが、セルバ共和国の地下墓所遺跡でミイラ状態で発見された。


コディア・シメネス

マスケゴ族。
グラダ大学病院の前庭でテオと出会った。
ムリリョ博士の末娘でフィデル・ケサダ教授の妻。 夫の母親の世話をしている。
ケツァル少佐によると「聡明で優しい」人。


ベアトリス・ビスカイーノ

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。
グラダ大学医学部法医学准教授。 CGを使った顔の復元などを研究している。


2022/03/03

空の緑 人物紹介 6

 テオの関係者達  部別


第3部

ママコナ

全てのヴェルデ・シエロを統括・教育する役目を担う大巫女。
当代のママコナはカルロ・ステファンと同年齢のカイナ族の女性。
先代が死去した後最初に生まれた純血種の女子が選ばれる。
一生”曙のピラミッド”から出ることはないが、テレパシーで世界中を見ている。
一族からは”名を秘めた女性”とか”名を呼んではいけない女性”と呼ばれる。
純血種のみが彼女とテレパシーで会話出来る。


ビアンカ・オルティス

自称グラダ大学文学部の学生。
ステファンにジャガー目撃証言をするが、ステファンは彼女の証言と彼自身の捜査結果の矛盾に気が付く。


ロレンシオ・サイス

アメリカ生まれのジャズピアニスト。
父親はサスコシ族、母親は北米先住民のハーフ。 
ヴェルデ・シエロが何かも知らずに育ったので、ドラッグ服用でジャガーに変身してしまい、狼狽えた。父方の親族が純血至上主義者なので、悩む。


ビアンカ・オルト

サスコシ族。 ナワルはピューマ。
純血至上主義の家庭で育ち、異人種の血を引く異母弟の存在を知って怒った。
テオやステファンと数回接触するが、毎回嘘をついた。
テオ達は彼女は”砂の民”だと思い込んでいたが、違っていた。
ステファンに逮捕されかけた時に、デルガド少尉を気の爆裂で襲い、ステファンの一撃で倒された。


エドアルド・ゴンボ

コロンビア人の麻薬組織の構成員。
チュパカブラ騒動をでっち上げて遺跡発掘の妨害を試みたが、アスルに捕まった。


ドロテオ・タムード

サスコシ族。 ミゲール大使の親戚。
ケツァル少佐は「タムードの叔父様」と呼んでいる。


セルソ・タムード

サスコシ族。 ドロテオの次男。
ビアンカ・オルティスの本性をロホとステファンに語った。


シプリアーノ・アラゴ

サスコシ族族長。
ロレンシオ・サイスをヴェルデ・シエロとして教育することを引き受けてくれた。


ボブ・マグダス

アメリカ人。 ロレンシオ・サイスのマネージャー。
バンドを隠れ蓑に使い、麻薬を南米から北米へ密輸していた。


クレト・リベロ少尉、アブリル・サフラ少尉

大統領警護隊遊撃班所属。 どちらもブーカ族。


マルク・スニガ

グラダ大学生物学部准教授。 テオの同僚。
サンプル分析の費用を大統領警護隊文化保護担当部に請求したが、ケツァル少佐に正式な分析依頼を出した覚えはないと言う理由で踏み倒された。


マリア・アルダ・ミゲール

スペイン人宝飾デザイナー。 ミゲール大使の妻。 ケツァル少佐の養母。
養女のケツァル少佐を赤ん坊の時から育て、溺愛している。
娘が危険な仕事をしていることが心配なので、少佐は怪我をしても彼女には教えない。


空の緑 人物紹介 5

  テオの関係者達  部別


第2部

トーコ

ブーカ族とマスケゴ族のハーフ。 大統領警護隊司令部 副司令官。
隊員達から武闘派と信じられている。
各部署の指揮官に直接命令を下す役目をしている。
豪快な性格で部下達の個人的な事情にも理解を示す。


フェリペ・ラモス

ヴェルデ・ティエラ先住民。 サン・ホアン村の占い師。
エル・ティティ郊外のバナナ畑で死体となって発見された。


サン・ホアン村の村長夫妻

ヴェルデ・ティエラ先住民。 妻はフェリペの叔母。
村で起きている異変をテオ達に伝える。


チコ

アフリカ系ムラートとヴェルデ・ティエラのハーフ。陸軍2等兵。


パブロ

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。 陸軍2等兵。


カダイ師

ヴェルデ・ティエラ先住民。 民間の薬屋。(所謂呪い師)。


ノエミ・トロ・ウリベ

ヴェルデ・ティエラ先住民。 グラダ大学宗教学部教授。
セルバ国内の民間信仰を研究している。特に人形を用いた儀式や刺青、ペイントの意味を調査中。
学生達を愛し、誰彼となく力一杯ハグするので、ハグが苦手なステファンは逃げようとするが捕まる。



ロドリゴ・ロムべサラゲレス

グワマナ族族長。 
プンタ・マナのフェルナンデス農園で支配人をしている。



イスタクアテ・ロハス

グワマナ族。 漁師。 シャーマン。
弟カイヤクアテを海難事故で失った。


ペラレホ・クアテ

グワマナ族。 漁師。
イスタクアテの甥、カイヤクアテの息子。


ジョナサン・クルーガー

アメリカ人。 海難事故の当事者。


コンドル

サン・ホアン村を守っていた神像。


空の緑 人物紹介 4

 テオの関係者達  部別


第1部

アントニオ・バルデス

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。
オルガ・グランデ最大の金鉱石採掘企業エンジェル鉱石のミカエル・アンゲルス社長をネズミの神像を使って呪殺して会社を乗っ取った。彼なりの理由は、従業員を人並みに扱わない白人社長の排除と労働者待遇の改善が目的。
根っからのセルバ人なので大統領警護隊は畏怖の対象であり、逆らわない。


リコ

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。バルデスの命令でパシリをしていた地元のヤクザ。
テオとケツァル少佐をバルデスの下に呼び込んでしまい、バルデスの怒りを恐れて少佐に保護を求めた。
現在はオルガ・グランデ陸軍基地の車両部で軍属として働いている。
テオを命の恩人と考え、細やかながら手助けをする。


マリア・アルメイダ

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。 アンゲルスの屋敷で女中として働いている時にネズミの神像に近づいて呪いのとばっちりを受けてしまう。
ケツァル少佐からママコナのネックレスをもらって病気が治る。


ヘイズ

アメリカにある某私立大学の考古学者。
趣味でメルカトル博物館を所有・経営している。


リオッタ

グラダ大学に勤務していたイタリア人考古学者。
オクタカス遺跡で作業員から聞いたボラーチョ村の謎を追求しようとして、”砂の民”に粛清された。


マーベリック

アメリカ人考古学者。
オクタカス遺跡で何故かフランスの発掘隊の指揮を執っていた。
”風の刃の審判”事故で負傷。発掘作業を断念せざるを得なくなった。


ニート

ヴェルデ・シエロの少年。 恐らくオクターリャ族。
テオが彼に出会ったのは所在不明のジャングルの奥地で、時代はJ・F・ケネディがまだ大統領選を戦っている時だった。


クルーニー

テオの護衛。シュライプマイヤーの相棒。


ディエゴ・カンパロ

反政府ゲリラ”赤い森”のリーダー。
ミックスのヴェルデ・シエロだが、能力はほとんどない。
テオを誘拐したり、ロホをナイフで刺して瀕死の重傷を負わせたりで、ステファンに狙撃され、ケツァル少佐からアサルトライフルの銃弾を滅多撃ちされた。


カメル

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。 陸軍特殊部隊軍曹。
カルロ・ステファンと共に特殊任務を帯びてアメリカに潜入したが、メルカトル博物館で突然ステファンを暗殺しようとして失敗。警察官に銃を向けたために射殺された。


エドガルド・ファルコ

大統領警護隊司令部所属 外務省へ出向している。 駐米セルバ共和国大使館付き武官。少佐。
ブーカ族。 妻帯者。


リギア・フナイ

駐米セルバ共和国大使館勤務 理事官。
ヴェルデ・シエロ系メスティーソ。


パルトロメ・イグレシアス

白人。 内務大臣。


マリオ・イグレシアス

白人。 建設大臣。 パルトロメの弟。
ケツァル少佐に片思いをして何度ふられても諦めずにデートに誘う。
(一応ストーカーではない。)
セニョール・シショカの雇い主。


エウセビーオ・シャベス

ヴェルデ・ティエラのメスティーソ。
陸軍特殊部隊軍曹。 内務省の命令で亡命者の運転手兼護衛を務めた。
ヴェルデ・シエロの内紛に巻き込まれ負傷した。現況は不明。


シュカワラスキ・マナ

純血グラダの男性。イェンテ・グラダ村の生き残り。
ケツァル少佐とカルロ・ステファンの父。


ウナガン・ケツァル

半グラダの女性。 イェンテ・グラダ村の生き残り。
ケツァル少佐の母。


ニシト・メナク

半グラダの男性。 イェンテ・グラダ村の生き残り。
ウナガンの夫。


エルネンツォ・スワレ

ブーカ族。 砂の民。


トゥパル・スワレ

ブーカ族。 長老会の重鎮。 エルネンツォの弟。


アデリナ・キルマ

ブーカ族。 陸軍特殊部隊第17分隊隊長 中尉。
シャベス軍曹の直属の上官。 
ステファンが彼女を「巨乳ちゃん」と呼んでケツァル少佐に消しゴムを投げつけられた。


グリュイエ

ブーカ族。 大統領警護隊 少尉。
文化保護担当部に配属されることが決まったその日にバス事故に巻き込まれ、市民を助けて殉職した。 享年18歳(推定) 大統領警護隊地下神殿の”名誉の殉職者”に列されている。


長老会の人々

仮面を装着しているので身元不明。
一人は女性である。


ファビオ・キロス

ブーカ族。 大統領警護隊遊撃班所属中尉。


第11部  神殿        23

  一般のセルバ共和国国民は神殿の中で起きた事件について、何も知らない。そんな事件があったことすら知らない。彼等の多くは”ヴェルデ・シエロ”はまだどこかに生きていると思っているが、自分達のすぐ近くで世俗的な欲望で争っているなんて、想像すらしないのだった。  テオは、大神官代理ロア...