2022/02/27

空の緑 用語集 7

 組織


1. 大統領警護隊

ヴェルデ・シエロのみで組織されている軍隊。
国家の治安維持と国土の守護を目的とする。
一般のセルバ人からは、神(ヴェルデ・シエロ)と会話出来る人々が採用されていると考えられている。その為に国民は大統領警護隊に逆らうことをタブーとしている。
隊員は陸軍士官学校の卒業生から採用され、全て少尉から上の階級に属する。
それ故、陸軍・空軍と合同で活動する時は大統領警護隊の隊員が指揮官となることが多い。


本部はグラダ・シティに置かれ、大統領府と同じ敷地内にある。
地上施設は、司令部、隊員の宿舎、訓練所、車両部など。
地下に大規模な地下神殿と多目的大広場がある。
組織としては、
司令部  司令官 大佐
     副司令官 中佐2名が交代で勤務
     内務調査班 大統領警護隊内部の勤務状況や不祥事を調査する組織
     神殿警備班  地下神殿の管理維持、外の世界での祭祀の指導
     外部活動統括班 外部組織、外郭団体や省庁出向人員の管理 
     情報分析班 セルバ国内の社会情勢や治安に関する情報を収集し分析する
     司令部に入るには指導師の資格取得が必要(基本的に少佐以上の階級)
警備班  最も隊員数が多い部署で、隊員は必ずこの部署から勤務経験を開始する
     活動内容は、大統領府の警備、大統領や政府要人の警護
     当番制で本部内の清掃、洗濯なども自分達で行う
     業務に使用する車両の整備を行うのは警備班車両部の仕事
     大統領府の正門を守ったり、式典で行進する儀仗兵も警備班の役目
厨房班  隊員だけでなく大統領や賓客の食事の世話をする部署
     食材を清める儀式を行うので、指導師の資格が必要
     指導師の資格を取ると必ず最短半年は厨房班で勤務することが義務づけられる
遊撃班  警備班から選ばれた精鋭が勤務する部署で常時指揮官以下25名が所属
     他の部署で欠員や傷病欠が生じた場合に助っ人として呼ばれることがある
     外の世界で起きる事件の捜査や小規模の軍事行動に携わる
技術班  武器の管理、装備品の管理、物資調達などを担当する

支部は持たないが、外部組織がいくつかある。


太平洋警備室
太平洋岸のサン・セレスト村に置かれている。
太平洋岸の平和維持(津波や暴風雨の鎮静、外敵侵入の防御)を目的とする。また、セルバ共和国第2の都市オルガ・グランデの守護も担当する。
駐在隊員は全部で5名。        

国境警備隊  
南北の国境に配備される。陸軍の国境警備隊と合同編成の部隊で、大統領警護隊が指揮権を持つが、厨房などの係も大統領警護隊が担当する。(食材を清める必要があるので)
国境検問所の警備(通行人や通行車両の検査は陸軍が行う)、ジャングルや海上、砂漠の巡視を行う。
また、空港(グラダ・シティとオルガ・グランデ)の警備も担当している。

外務省  
諸外国に置く大使館、領事館の武官として大統領警護隊の隊員が派遣される
また、本国でも各セクションの責任者として隊員が勤務している
他にも内務省、国防省などに隊員が出向している

文化保護担当部
文化・教育省に置かれている外郭団体
国内の遺跡保護と発掘作業の監視を行う
また、古代の神の呪いや悪霊のお祓いも行う


2. 長老会

各部族の長老達の中から選挙で選ばれた人々で組織するヴェルデ・シエロの最高権力組織
一族内の司法と立法を司どる
長老会のメンバーは大統領警護隊本部の地下神殿大広間で会合を行う
会合の際は仮面を装着し、個人名は決して使用しない
一族の存続を危うくする恐れのある人物の暗殺を”砂の民”に命令することが出来る
一族の反逆者を裁判にかける審判も行う


3. 長老

各部族の構成員で年齢が高く、経験豊かで、超能力が強く、術に長けている人望のある人々


4. 族長

各部族の代表
部族の成人に達している構成員による選挙で選出される

5. 憲兵隊

基本的にヴェルデ・ティエラの警察組織
主に先住民と外国人が関与する事件の捜査などにあたる
隊員の中にヴェルデ・シエロがいることもある

6. 司法警察

ヴェルデ・ティエラの警察組織
都市警察と地方の州警察がある
一般のセルバ国民の治安維持と犯罪捜査にあたる
ヴェルデ・シエロが入っていることはないが、警部以上の階級に上がると、ヴェルデ・シエロ対処法を上から教えられる


7. 陸軍特殊部隊

セルバ共和国陸軍の中の部署
大統領警護隊に採用されなかったヴェルデ・シエロの軍人の多くがここに配属されている


8. 沿岸警備隊

セルバ共和国には海軍がないので、海上警備は沿岸警備隊が行う
隊員にヴェルデ・シエロがいるのかどうかは不明


9. 7438・F・24・セルバ

テオがセルバ共和国を訪問するきっかけとなった謎のゲノムを持つ血液サンプル。
エンジェル鉱石の従業員から採取されたことだけが判明している。

2022/02/26

空の緑 用語集 6

 部族


1. グラダ

ヴェルデ・シエロの中で最も強い力を持っていた部族。
古代の大神官と大巫女ママコナは、グラダ族から輩出されていたが、力が強大な分繁殖力が弱く絶滅した。
大神官級の男性はコロシアム並の建造物を気の爆裂で一瞬にして破壊出来る。
ハリケーンなどの自然災害から国土を守る力も持っていたと言われている。
大巫女ママコナは予知能力を持っていたと伝えられている。
男のグラダ族のナワルは黒いジャガーである。
セルバ共和国の首都グラダ・シティはこの部族の名前から来ている。


2. ブーカ

ヴェルデ・シエロの中で最も人口が多い部族。
穏やかな性格の部族で古代はグラダ族の補佐をしていた様だ。
現在は政治や軍事の世界に子孫を紛れ込ませ、セルバ共和国の事実上の支配者となっている。
祭祀を司どる家系や、政治家の家系 などは貴族と呼ばれている。
部族間ミックスのヴェルデ・シエロの多くはブーカ族の血が流れていると言っても過言ではない。
植民地時代より前に権力闘争があり、敗れた一族が西海岸地方へ移住した。彼等は、オエステ・ブーカ(西のブーカ)と呼ばれ、政治ではなく農耕に従事している。
空間通路を見つけるのが上手だと言う定評がある。


3. オクターリャ

極めて人口が少なく、殆ど登場しない。
時間跳躍が得意なので、平和な時代に移住したと”ヴェルデ・シエロ”界では考えられている。


4. サスコシ

セルバ共和国第3の都市アスクラカン周辺の農村地帯に拠点を置く部族。
単一部族を重んじる純血至上主義者が多いが、開放的な家系は経済的にかなり成功している。セルバ共和国で有数の富豪一族サンシエラはサスコシ系のメスティーソで、支流にミゲール家がある。


5. マスケゴ

人口が少なくメスティーソが多いが、純血種に純血至上主義者が目立つ。ただ、サスコシ族の純血至上主義者に比べると複数部族のミックスは認めている。主に西部高地に居住していたが、現在は国内に散逸している。力は前述4部族ほど強くないが、”操心”は得意。


6. カイナ

農耕を主とする一次産業に就いている人が多い。
あまり超能力が強くないので、軍隊に入る人は少ない。
ナワルは前述5部族がジャガーであるのに対し、カイナ族はオセロットと言われている。
マスケゴ同様に西部高地を拠点としていたが、現在は全国に散逸している。


7. グワマナ

セルバ共和国東海岸南部地方を拠点とする部族。 
穏やかな性格で力も強くない。ナワルはマーゲイが多い。
漁民が多く、ゲンテデマ(海の民ゲンテ・デル・マール)と自らを称する。
穏やかで力も弱い為にヴェルデ・ティエラの社会に溶け込み、ティエラは彼等をガマナ族と呼ぶ。


8. ヴェルデ・ティエラの部族

オルガ族
アカチャ族
アケチャ族
その他


9. 砂の民

部族ではなく、ヴェルデ・シエロの存在を異人種に知られないように闇の世界で活動する人々。部族はバラバラだが、選考基準はナワルがピューマであること。
所謂「殺し屋」。
大統領警護隊に匹敵する情報網を持っている。”耳”と”目”と呼ばれる情報収集を司どる”ティエラ”を各自持っており、”耳”と”目”は自分達が操られているとは知らずに情報を集め、”砂の民”に報告する。無報酬だが、”砂の民”の守護を受けているので身の安全は保障される。





空の緑 用語集 5

 人間の呼称


1. ヴェルデ・シエロ

「空の緑」。 中米セルバ地方に古代文明を築き、紀元前に既に滅んだと言われる種族。
特殊な脳の働きで所謂「超能力」を使ってセルバ地方を支配していたと言い伝えられる。
古代遺跡には、頭部に翼がある姿で彫刻が残される。(ケツァル少佐は、「そんな翼が頭に生えていたら化け物だと思う」と言った。)
7つの部族に分かれ、それぞれ微妙に使える能力の種類や強さが異なった。
絶滅したと言われているが、実際は細々と生き残っており、セルバ国民の中に混ざって暮らしている。セルバ人の土着信仰の「神」であり、セルバ共和国はカトリック教徒の国と言う建前だが、市民は災難に遭ったり災害が来ると”ヴェルデ・シエロ”に祈る。国民の中には実際に”ヴェルデ・シエロ”が生きていることを知っている人もいて、みだりにその名を口にすることはタブーとなっている。


2. ヴェルデ・ティエラ

「地の緑」。ヴェルデ・シエロから見た普通の人間のこと。本来はセルバ先住民のことを指していたが、現在はヴェルデ・シエロでない全ての人間を指す言葉になっている。
セルバ共和国にはヴェルデ・シエロの子孫がヴェルデ・ティエラと混血して残っていることが多い。見た目は普通の中米先住民の顔をしている。また、白人との混血メスティーソの割合が純血種を上回っている。
ヴェルデ・ティエラも地域毎に多くの部族に分かれているが、近代化が進んで都市部では伝統的文化や言語が消えつつある。


3. 出来損ない

ヴェルデ・シエロとティエラ(広義の意味で)の混血の人々を指す。
気の制御が親やママコナから教わらなければ出来ないので、純血種のヴェルデ・シエロが軽蔑の意味で用いる蔑称である。
”出来損ない”は超能力を持っているミックスを指し、”心話”や夜目を使えないミックスはただの”ヴェルデ・ティエラ”と見做され、”出来損ない”とは呼ばれない。


4. 純血種

100パーセント”ヴェルデ・シエロ”の人。
広義では、複数の部族の血筋を引いている人も含め、狭義では単一部族の血統しか認めない。
従って、純血至上主義と言う右派も二つに分かれ、狭義の極右は”出来損ない”の存在を認めようとしない。身内でも異種族との婚姻で生まれた子供を殺してしまう極端な過激思想を持つ。


5. メスティーソ

白人とアメリカ先住民の混血の人々。


6. サンボ

アフリカ系とアメリカ先住民の混血の人々。


7. ムラート

アフリカ系と白人の混血の人々。




2022/02/24

空の緑 用語集 4

  ”ヴェルデ・シエロ”の超能力


16. 気

オーラ、つまり霊的エネルギーのこと。気の大きな者ほど各能力の威力が強い。
しかし”ヴェルデ・シエロ”の気は独特の波長をしているので、一般の人間や動物は本能的にそれに対して不安を感じる。それ故に”ヴェルデ・シエロ”は赤ん坊の時にママコナから気を抑える方法をテレパシーで学ぶ。しかし異人種の血が入るミックスはママコナの言葉を解せないので、気を抑制出来ないまま成長してしまい、しばしば人間社会の中で孤立してしまう傾向がある。大人になってしまうと抑制方法の習得に時間がかかる為、ある種の麻薬効果がある抑制タバコと呼ばれるタバコを吸う習慣が身に付く。


17. 封印

生まれて間もない赤ん坊の超能力を封じて使えなくしてしまう術。これをかけられた”ヴェルデ・シエロ”はかけた人から術を解いてもらわない限り、成長しても心話と夜目しか使えない。かけられる人は直系の親又は祖父母のみ。
しかし、封印をかけられた人から生まれる子供には影響がない。


18. 憑依

禁断の術。己の肉体を捨てて他の”ヴェルデ・シエロ”の肉体に魂が移動する術。元の体に還ることは出来ない。憑依された者は己の肉体を他人の魂と共有することになる。憑依した者は本来の能力を使えるが、同時に宿主に己の思考を全て読まれてしまう。宿主の同意がなければ憑依は出来ない。


19. 予知

未来に起きる出来事を視ることが出来る力。これは古代のママコナだけが持っていた。古代のママコナはグラダ族の女性のみに資格があった。


20. 五感

”ヴェルデ・シエロ”の五感は、ほぼジャガーと同じ。

空の緑 用語集 3

 ”ヴェルデ・シエロ”の超能力


10. ナワル

ジャガーやオセロット、マーゲイなどのネコ科の動物に変身する能力、または変身した姿を表す言葉。
ナワルを使えない”ヴェルデ・シエロ”は”ヴェルデ・シエロ”にあらず、と言われる神聖な能力。
ナワルを使える”ヴェルデ・シエロ”は”ツィンル”(人)と呼ばれる。使えない者を人扱いしない思想が窺え、若者達は”ツィンル”と言う単語を使いたがらない。
ナワルは純血種なら成年に達する頃に自然に変身出来るようになるが、異人種の血が入ると精神的に大きなプレッシャーを与えられなければ変身のきっかけが掴めない。また、超能力の強さによってナワルの大きさも変わる。強い力を持つグラダ、ブーカ、オクターリャ、サスコシ、マスケゴ族はジャガー、カイナ族はオセロット、グワマナ族はマーゲイと認識されているが、個人差があるので必ずしもそうなるとは限らない。また、部族に関係なく稀にピューマに変身する者が生まれる。
男性のグラダ族のナワルは黒いジャガーである。
滅多に生まれないが、白い体毛のナワルを持つ者もいる。古代、白い動物は「聖なる生贄」として神に捧げられていたので、現代でも白いナワルを持つ者は決して他人に己のナワルを見せない。
”ヴェルデ・シエロ”は成年になったことを証明する成年式で親、部族の長老、族長の前でナワルを披露する。その為に、長老会は全国の”ツィンル”を把握している。もし長老会に存在を知られていない”ツィンル”がいれば、異端と見なされ、”砂の民”の狩りの対象とされるので、親は必ず子に成年式を受けさせる。
ナワルは全身の細胞を変化させるので、変身を解いて人間に戻ると酷い疲労感に襲われ、丸一日眠りこけてしまう。





11. 念力

特に名前がついていない能力で、物体を手を触れずに動かす力。幻視と同様に誰でも使えるが、親に教えられて使えるようになる能力。動かせる物体の大きさは能力の強さに比例する。時に爆裂波と共に使用されることもある。


12. 読心

相手の目を見て思考を読み取る一種のテレパシー能力。
心話が思考のやり取りが出来る能力であるのに対し、読心は一方通行である。従って、相手を尋問する場合に使用する。或いは相手が普通の人間である場合に用いる。セルバ人は”ヴェルデ・シエロ”に心を読まれることを恐れて、昔から会話相手の目を見ないマナーを作り上げた。
相手に不意打ちで名前を呼んで返事をさせ、目を合わせて強引に読心を行うことを「心を盗む」と言う。この場合は相手の思考全てを読み取ってしまうので、読まれた側は急激な負担を脳に与えられ、気絶する。


13. 感応

”ヴェルデ・シエロ”は遠くにいる仲間とテレパシーで対話する能力を持たないが、危機に陥った時や仲間に呼びかける時に精神波を出す。呼ばれた側はそれを感じ取るが、返事は出来ない。


14. 霊視

”ヴェルデ・シエロ”は死者の霊を見ることが出来る。但し、霊と対話する能力はない。この能力は主に女性に多く発現する。
 悪霊や神霊を見たり、捕まえたりする能力は、修行を積まなければ身につかない。


15. 守護

”ヴェルデ・シエロ”が自分達の存在意義として最も重視する能力。
文字通り、災害から人や町を守る。具体的に何をすると言うものではなく、漠然と悪いことが起こらないように守る、と言う曖昧なものだが、一般のセルバ人が”ヴェルデ・シエロ”に祈るのは正にこの力を求めているからである。

空の緑 用語集 2

  ”ヴェルデ・シエロ”の超能力

7. 爆裂

”ヴェルデ・シエロ”版かめはめ波。
物体を破壊する恐ろしい衝撃波。人種、物質の種類に関係なく有効な攻撃方法。
人間を含む生物がこの攻撃に直撃されると細胞が破壊され、死に至る。それ故に、掟によって人間に対して用いることを厳しく禁じられており、例え殺害に至らなくても意図的に使用すると極刑に処せられる。
大統領警護隊は爆裂の攻撃を受けた時の防御の仕方を隊員に教えているが、実際に攻撃を受けなければ習得したか否か判断出来ないので、大変難しい修行である。軍事訓練の際にも使用するが、油断すると大怪我を負うので、負傷した場合の対処法を習得している指導師と呼ばれる資格を持つ隊員が必ず立ち会い監督する。
爆裂による負傷は細胞そのものに損傷を受けるので、見た目の傷が完治しても長期に渡って苦痛が残り、治らない場合もある。”ヴェルデ・シエロ”は自力で傷を完治させる速度が速いが、爆裂による傷は自力では治せないので、必ず指導師に細胞の崩壊を止めてもらうことが先決となる。この指導師の治療を「祓い」と呼び、爆裂による細胞の負傷を「呪いが残る」と言う。
グラダ族の男性の気力は強大で爆裂の威力も半端なく、コロシアム程度の大きな建造物を一人で破壊することが出来る。その力に耐え得るのは修行を積んだブーカ族、オクターリャ族、サスコシ族だけだと言われている。
なお、己が発した爆裂波を相手に跳ね返され、自ら負傷する場合もある。
また、敵が放った銃弾や砲弾を空中で破壊するのも爆裂波である。
兎に角、軽々しく使用してはいけない危険な能力である。故に普通成年式を迎えていない子供には教えないし、軍隊と無縁な生活をしている人々は通常使わない。また親から教わることもない。一般市民として生きている”ヴェルデ・シエロ”は使えないと言うのが常識となっている。但し、本来は自衛本能で発達させた能力なので、身の危険が迫った場合に無意識に使ってしまうこともある。


8. 空間通路

”ヴェルデ・シエロ”の目には空間に異次元の渦が生じているのが見える。大概は小さいので無視しているが、人が通れる大きさの渦があれば通路として利用する。通路には人間が進入出来る「入り口」と入れないが出ることは出来る「出口」がある。これらは常に動いているので、同じ場所に生じるとは限らない。「入り口」に入る時、行きたい場所を念じると瞬時にその場所へ「出口」が開き、移動出来る。但し、必ずしも希望の場所にドンピシャで行ける訳ではなく、微妙にずれたりするので、危険な場所に出てしまうこともある。複数の人数で同時に同じ「入り口」を使う時は、最初に入る人が「先導」となる。「出口」から出ることを「着地」と言うが、着地が上手くいくかいかないかは、先導者の腕次第である。
空間通路を利用する”ヴェルデ・シエロ”を目撃した人は、人間が空中で消えるように見える。また着地する瞬間を見ると、空中から突然湧いて出るように見える。その為、空間通路の使用には、目撃者となる人間がそばにいないよう確認しなければならない。
 ブーカ族は「入り口」を見つけるのが上手で、「出口」の作り方も上手だと言われている。
空間通路の出現は決して規則的なものではないので、通常の移動は普通の人間と同じ手段を用いる。 


9. 跳ぶ

時間移動のことである。
”ヴェルデ・シエロ”のタイムトラベルは、精神だけを異時間帯へ跳ばすことを意味する。
歴史を変えてはいけないと言う時間移動の決まりを”ヴェルデ・シエロ”も固く守っている。
過去へ跳ぶのは簡単だが、未来へ行くのは体力と気力を消耗する。また未来を知ってしまうと歴史が変わると言う原則があるので、未来へ跳ぶことは禁止されている。
オクターリャ族は時間飛翔が得意で、精神だけでなく肉体も跳ばせる。

空の緑 用語集 1

 ”ヴェルデ・シエロ”の超能力


1. 心話

目と目を見合わせて情報を交換する能力。一瞬にして互いが持っている情報を伝え合えるので便利な一方、油断すると伝えたくない個人情報も伝わってしまうので、情報をセイブする慎重さが必要。また、お互いの目が見える距離でなければ使用出来ない。
”ヴェルデ・シエロ”なら生まれつき持っている能力であり、この能力を持っていなければ”ヴェルデ・シエロ”ではないと見做される。但し、言語と同じように親が語りかけて使い方を教える能力でもあるので、幼児期に母親からネグレクトされたアンドレ・ギャラガは大人になってから初めて使い方を教わった。


2. 夜目

暗闇でも目が見える。但し、光がない場所ではモノクロの世界を見ているのと同じ。
身体的能力なので、視力が正常なら生まれつき誰でも持っている。
夜間の照明は必要がないのだが、周囲の人間に正体を知られないように、家の中で照明を使用している。


3. 幻視

周囲の人間の脳に働きかけて幻影を見せる能力。”ヴェルデ・シエロ”なら誰でも使える能力だが、親が子供に教えるものであり、教わらなければ使えない。
自分の姿を相手に「見えない」と思わせるのも幻視の一種である。なお、この能力は”ヴェルデ・シエロ”同士では効果がない。


4. 操心

人間の脳に働きかけ、意識を支配してしまい、意のままに操る能力。
ママコナからテレパシーで伝授されるが、異人種の血が混ざるミックスの”ヴェルデ・シエロ”には習得が難しい能力の一つである。通常は一つの動作や短時間の支配しか出来ないが、修練を積むと長期にわたって支配を持続させることも可能。
相手の目を見つめて支配してしまうので、一般のセルバ人は古代から話し相手の目を見ないと言うマナーとして”ヴェルデ・シエロ”から身を守る自衛手段を伝えてきた。
但し、純血種や能力の強い者は相手の目を見なくても、己の結界内にいる全ての人間を支配出来る。

5. 連結

操心と混同されることが多い能力で、”ヴェルデ・シエロ”でも間違えることがあるらしい。
他人の身体の一部を支配して動かす力。脳を支配するのではないので、連結された人間は自分の手足が勝手に動くことに恐怖を覚えることが多い。自分の実際の能力以上の行動をしたいと願う人には有り難いが、短時間しか効かない。


6. 結界

精神力で作るバリア。小さいものは結界を張る本人のみを包み、大きなものは都市一つを包みこむ規模がある。結界の大きさは修行で成長させることが出来るが、部族ごとに限界がある。修行を積んだブーカ族はサッカースタジアムを包みこめる規模の結界を瞬時に張ることが出来る。グラダ族は都市を包みこめる。
この結界は”ヴェルデ・シエロ”同士の争いで身を守るものであり、”ヴェルデ・シエロ”は自分より力の強い他人の結界を通れないが、普通の人間には意味がないと言う弱点がある。従って、銃弾や砲弾などを通してしまうので、それには別の対抗策がある。但し、刃物や矢や石の投擲と言った古代からの武器は防げる。
自分で張った結界の内側では、能力を存分に発揮出来るので、操心などを多人数に対して使いたい場合は、先に結界を張ってしまう。


第11部  神殿        23

  一般のセルバ共和国国民は神殿の中で起きた事件について、何も知らない。そんな事件があったことすら知らない。彼等の多くは”ヴェルデ・シエロ”はまだどこかに生きていると思っているが、自分達のすぐ近くで世俗的な欲望で争っているなんて、想像すらしないのだった。  テオは、大神官代理ロア...