2022/03/01

空の緑 人物紹介 1

 テオと仲間達


テオドール・アルスト・ゴンザレス

元の名前は シオドア・ハースト  愛称テオ

北米の国立遺伝病理学研究所で遺伝子組み替えによって生み出された男。
頭脳明晰だが、性格は悪かった。
セルバ共和国でバス事故に遭遇し、記憶喪失に陥ってから性格がガラリと変わり、「良い人」に生まれ変わる。
バス事故から救い出してくれたエル・ティティの町の住人達を愛し、親身になって世話をしてくれた警察署長アントニオ・ゴンザレスを父の様に慕い、セルバ共和国に亡命、帰化する。
現在は国立グラダ大学生物学部遺伝子工学科の准教授として勤務。
大統領警護隊文化保護担当部の隊員達と親交を深めるに従って、面倒な事件に巻き込まれる率が高くなっている。
超能力は持っていないのだが、何故か霊の声が聞こえたり、悪霊のエクトプラズムが見える。
ヴェルデ・シエロの”操心”が効かない人間として、ヴェルデ・シエロから一目置かれている。
ケツァル少佐を愛しているが、口説く勇気がない。


シータ・ケツァル・ミゲール

大統領警護隊文化保護担当部の指揮官少佐  通称ケツァル少佐
テオより1つ年下。

現世で生きている最強の純血グラダ族の女性。 ナワルはジャガー。
純血種の父と半グラダ(半分以上グラダ族の血を引くと言う意味)の母の間に生まれた。
母親が彼女を出産後すぐに亡くなったので、サスコシ系メスティーソのフェルナンド・フアン・ミゲールとスペイン人マリア・アルダ・ミゲールの夫妻に養女に出され、ヨーロッパとセルバを行き来して育った。 現在は西サン・ペドロ通りの高級コンドミニアムで一人暮らし。
グラダ族はオールマイティのヴェルデ・シエロと言われているが、”空間通路”の”着地”が下手なので部下に皮肉を言われることがある。
彼女が張る結界はかなり強力で通り抜けられるヴェルデ・シエロはいない。(セプルベダ少佐が「ケツァルの結界にまともに突っ込むと、頭がパーになるぞ。」と言っている。)
性格はかなりドライだが、部下達を弟妹の様に心から愛している。
テオには気がないようなふりをして、結構自分からモーションをかけている節がある。



アルフォンソ・マルティネス

本名アルファット・マレンカ   通称ロホ
大統領警護隊文化保護担当部副官大尉
ケツァル少佐より6歳年下。

ブーカ族の名門貴族の家の4男(男ばかり6人兄弟)。 ナワルはジャガー。
長身のイケメン。穏やかな性格で優しく親切なので男女の別なくファンが多い。
超能力は強く、悪霊退治や荒神の鎮静をやってのける能力がある。
サッカーが得意。 現在は中古のアパートで一人暮らし。
優秀なのに性格が優しすぎるので上官達から心配されることがある。
ケツァル少佐が作る煮豆が大好物だが、少佐の家に泊まると何故かいつも朝寝坊する。
少佐に憧れていたが、少佐の異母妹と交際を始めた。
後輩達からは頼れる兄貴先輩上官として敬愛されている。


キナ・クワコ

通称アスル   逮捕した犯罪者達からは”ペケニョ・エロエ(小さな英雄)”と呼ばれている。
大統領警護隊文化保護担当部中尉
ロホより2歳年下。

恐らく大統領警護隊では唯一人の純血オクターリャ族の隊員。 ナワルはジャガー。
時間跳躍が得意だが、時間の法則を守ったりエネルギー消費が半端ではないので滅多にその力を使わない。
小柄だが格闘技に長けており、白兵戦が得意。 車の運転は暴走族並みなので、ロホと行動する場合、通常は上官のロホが運転している。
趣味はサッカーと料理、消しゴムの収集。
普段は無愛想で無口だが、気に入ると世話を焼きたがるツンデレ君。
料理が趣味なので、店や他人の台所を覗きたがる。 
文化保護担当部に抜擢された時に官舎を出てから住所不定だったが、テオの家に下宿を始めて少尉から中尉に昇級を認められた。年上の女性が好みらしいが、まだ恋人はいない。


マハルダ・デネロス

特に通称はないが、みんなからマハルダと呼ばれて可愛がられている。
大統領警護隊文化保護担当部少尉
アスルより1歳年下。 つまり、最年少。

8分の1ブーカ族の血が入るメスティーソの女性隊員。 ナワルはオセロット。
ロホと同様に6人の子供がいる家庭の末っ子。実家はグラダ・シティ郊外のワタンカフラ地区で野菜中心の農業を営んでいる。
超能力の威力は強くないが、一通りの技は使える優れ者。
力が強くないのでケツァル少佐は彼女を戦闘から遠ざけたがるが、当人は前線に出て働きたい性格。 コンピューターのデータ処理能力は抜群に高いが、たまに用事を忘れるドジも踏む。
物怖じしない性格で、ケツァル少佐でさえ逆らわないムリリョ博士に遠慮なく話しかけたり、年上の後輩ギャラガを年下扱いする。
学習意欲も盛んで文化保護担当部の必須科目である考古学を修了した後も大学で現代言語学コースを履修して学んでいる。陽気で可愛いので男子学生の間では人気が高い。林檎と甘い物が大好き。目下のところ恋愛よりも仕事に熱中している。 本部の官舎住まい。


アンドレ・ギャラガ

当人は好きではないが、カサベ・ロハ(赤い頭)と警備班時代に呼ばれて揶揄われていた。
大統領警護隊文化保護担当部少尉
アスルと同年齢(推定)。

街娼をしていた母親(ヴェルデ・シエロ)にネグレクトされ、不遇な幼児期を過ごした経歴を持つ。父親は不明。(母親は彼に父親はアメリカ人で死んだと語っていた。)
白い肌と赤毛で外観は白人に近い。母親は自分達はブーカ族だと彼に言っていたが、彼女の姓を聞いたカルロ・ステファンがカイナ族ではないかと疑いを持った。儀式でナワルを披露した時、色が薄い黒いジャガー(灰色に斑紋がある)に変身したので、グラダ族と認定された。
母親にネグレクトされ、メスティーソでもあるのでママコナの声を聞けず、超能力の使い方を知らずに成長したため、文化保護担当部に引き抜かれてから使い方を習っている最中。
グラダ大学考古学部の学生でもある。(通信制)
生きるために10歳頃に年齢を誤魔化して自ら陸軍に入隊、バレた後もそのまま軍に養われ、陸軍特殊部隊に入った。そこから大統領警護隊に採用されたので、度胸と戦闘能力は人並みに持っている。シャイな性格で、時々ケツァル少佐に「目を伏せるな」と叱られる。
文化保護担当部では己が一番格下だと心得ている。また、引き抜かれるキッカケを作ってくれたカルロ・ステファンに感謝と尊敬の気持ちを抱いている。 本部の官舎住まい。


カルロ・ステファン

エル・ジャガー・ネグロ(黒いジャガー)
大統領警護隊遊撃班所属大尉
ケツァル少佐より6歳年下。ロホと同年齢。

グラダ純血種の父と4分の1白人のグラダ系メスティーソの母の間に生まれた。
ケツァル少佐の異母弟。
2歳の時に父親を亡くし、母方の祖父も彼が5歳の時に病死したので、幼い頃から家族を養うために掏摸やかっぱらいをしていた。15歳の時に掏摸の標的にした相手がヴェルデ・シエロで、諭されて陸軍に入隊、大統領警護隊に採用された。当初は”心話”と夜目しか使えない”出来損ない”と周囲から馬鹿にされていたが、戦闘能力は秀でていたために上層部から目を留められ、文化保護担当部設立の際に親友のロホと共にケツァル少佐に部下として招かれた。少佐との血縁関係が明らかになる迄彼女を愛し、いつか妻にしようと考えていた。
少佐が彼を「弟」としか見ていないと悟った時は失恋で落ち込んだ。
テオには度々助けられ、頭が上がらない。
母親と実妹をオルガ・グランデからグラダ・シティに呼び寄せてすぐに本部勤務となってしまい、現在は官舎住まい。
グラダ族の男性として強力な超能力を持ち、気の爆裂の威力は凄まじいものがある。
気が優しく他人を信用してしまいがちな人の良さがあるが、仲間を傷つける者に対しては容赦なく攻撃する。



2022/02/27

空の緑 用語集 7

 組織


1. 大統領警護隊

ヴェルデ・シエロのみで組織されている軍隊。
国家の治安維持と国土の守護を目的とする。
一般のセルバ人からは、神(ヴェルデ・シエロ)と会話出来る人々が採用されていると考えられている。その為に国民は大統領警護隊に逆らうことをタブーとしている。
隊員は陸軍士官学校の卒業生から採用され、全て少尉から上の階級に属する。
それ故、陸軍・空軍と合同で活動する時は大統領警護隊の隊員が指揮官となることが多い。


本部はグラダ・シティに置かれ、大統領府と同じ敷地内にある。
地上施設は、司令部、隊員の宿舎、訓練所、車両部など。
地下に大規模な地下神殿と多目的大広場がある。
組織としては、
司令部  司令官 大佐
     副司令官 中佐2名が交代で勤務
     内務調査班 大統領警護隊内部の勤務状況や不祥事を調査する組織
     神殿警備班  地下神殿の管理維持、外の世界での祭祀の指導
     外部活動統括班 外部組織、外郭団体や省庁出向人員の管理 
     情報分析班 セルバ国内の社会情勢や治安に関する情報を収集し分析する
     司令部に入るには指導師の資格取得が必要(基本的に少佐以上の階級)
警備班  最も隊員数が多い部署で、隊員は必ずこの部署から勤務経験を開始する
     活動内容は、大統領府の警備、大統領や政府要人の警護
     当番制で本部内の清掃、洗濯なども自分達で行う
     業務に使用する車両の整備を行うのは警備班車両部の仕事
     大統領府の正門を守ったり、式典で行進する儀仗兵も警備班の役目
厨房班  隊員だけでなく大統領や賓客の食事の世話をする部署
     食材を清める儀式を行うので、指導師の資格が必要
     指導師の資格を取ると必ず最短半年は厨房班で勤務することが義務づけられる
遊撃班  警備班から選ばれた精鋭が勤務する部署で常時指揮官以下25名が所属
     他の部署で欠員や傷病欠が生じた場合に助っ人として呼ばれることがある
     外の世界で起きる事件の捜査や小規模の軍事行動に携わる
技術班  武器の管理、装備品の管理、物資調達などを担当する

支部は持たないが、外部組織がいくつかある。


太平洋警備室
太平洋岸のサン・セレスト村に置かれている。
太平洋岸の平和維持(津波や暴風雨の鎮静、外敵侵入の防御)を目的とする。また、セルバ共和国第2の都市オルガ・グランデの守護も担当する。
駐在隊員は全部で5名。        

国境警備隊  
南北の国境に配備される。陸軍の国境警備隊と合同編成の部隊で、大統領警護隊が指揮権を持つが、厨房などの係も大統領警護隊が担当する。(食材を清める必要があるので)
国境検問所の警備(通行人や通行車両の検査は陸軍が行う)、ジャングルや海上、砂漠の巡視を行う。
また、空港(グラダ・シティとオルガ・グランデ)の警備も担当している。

外務省  
諸外国に置く大使館、領事館の武官として大統領警護隊の隊員が派遣される
また、本国でも各セクションの責任者として隊員が勤務している
他にも内務省、国防省などに隊員が出向している

文化保護担当部
文化・教育省に置かれている外郭団体
国内の遺跡保護と発掘作業の監視を行う
また、古代の神の呪いや悪霊のお祓いも行う


2. 長老会

各部族の長老達の中から選挙で選ばれた人々で組織するヴェルデ・シエロの最高権力組織
一族内の司法と立法を司どる
長老会のメンバーは大統領警護隊本部の地下神殿大広間で会合を行う
会合の際は仮面を装着し、個人名は決して使用しない
一族の存続を危うくする恐れのある人物の暗殺を”砂の民”に命令することが出来る
一族の反逆者を裁判にかける審判も行う


3. 長老

各部族の構成員で年齢が高く、経験豊かで、超能力が強く、術に長けている人望のある人々


4. 族長

各部族の代表
部族の成人に達している構成員による選挙で選出される

5. 憲兵隊

基本的にヴェルデ・ティエラの警察組織
主に先住民と外国人が関与する事件の捜査などにあたる
隊員の中にヴェルデ・シエロがいることもある

6. 司法警察

ヴェルデ・ティエラの警察組織
都市警察と地方の州警察がある
一般のセルバ国民の治安維持と犯罪捜査にあたる
ヴェルデ・シエロが入っていることはないが、警部以上の階級に上がると、ヴェルデ・シエロ対処法を上から教えられる


7. 陸軍特殊部隊

セルバ共和国陸軍の中の部署
大統領警護隊に採用されなかったヴェルデ・シエロの軍人の多くがここに配属されている


8. 沿岸警備隊

セルバ共和国には海軍がないので、海上警備は沿岸警備隊が行う
隊員にヴェルデ・シエロがいるのかどうかは不明


9. 7438・F・24・セルバ

テオがセルバ共和国を訪問するきっかけとなった謎のゲノムを持つ血液サンプル。
エンジェル鉱石の従業員から採取されたことだけが判明している。

2022/02/26

空の緑 用語集 6

 部族


1. グラダ

ヴェルデ・シエロの中で最も強い力を持っていた部族。
古代の大神官と大巫女ママコナは、グラダ族から輩出されていたが、力が強大な分繁殖力が弱く絶滅した。
大神官級の男性はコロシアム並の建造物を気の爆裂で一瞬にして破壊出来る。
ハリケーンなどの自然災害から国土を守る力も持っていたと言われている。
大巫女ママコナは予知能力を持っていたと伝えられている。
男のグラダ族のナワルは黒いジャガーである。
セルバ共和国の首都グラダ・シティはこの部族の名前から来ている。


2. ブーカ

ヴェルデ・シエロの中で最も人口が多い部族。
穏やかな性格の部族で古代はグラダ族の補佐をしていた様だ。
現在は政治や軍事の世界に子孫を紛れ込ませ、セルバ共和国の事実上の支配者となっている。
祭祀を司どる家系や、政治家の家系 などは貴族と呼ばれている。
部族間ミックスのヴェルデ・シエロの多くはブーカ族の血が流れていると言っても過言ではない。
植民地時代より前に権力闘争があり、敗れた一族が西海岸地方へ移住した。彼等は、オエステ・ブーカ(西のブーカ)と呼ばれ、政治ではなく農耕に従事している。
空間通路を見つけるのが上手だと言う定評がある。


3. オクターリャ

極めて人口が少なく、殆ど登場しない。
時間跳躍が得意なので、平和な時代に移住したと”ヴェルデ・シエロ”界では考えられている。


4. サスコシ

セルバ共和国第3の都市アスクラカン周辺の農村地帯に拠点を置く部族。
単一部族を重んじる純血至上主義者が多いが、開放的な家系は経済的にかなり成功している。セルバ共和国で有数の富豪一族サンシエラはサスコシ系のメスティーソで、支流にミゲール家がある。


5. マスケゴ

人口が少なくメスティーソが多いが、純血種に純血至上主義者が目立つ。ただ、サスコシ族の純血至上主義者に比べると複数部族のミックスは認めている。主に西部高地に居住していたが、現在は国内に散逸している。力は前述4部族ほど強くないが、”操心”は得意。


6. カイナ

農耕を主とする一次産業に就いている人が多い。
あまり超能力が強くないので、軍隊に入る人は少ない。
ナワルは前述5部族がジャガーであるのに対し、カイナ族はオセロットと言われている。
マスケゴ同様に西部高地を拠点としていたが、現在は全国に散逸している。


7. グワマナ

セルバ共和国東海岸南部地方を拠点とする部族。 
穏やかな性格で力も強くない。ナワルはマーゲイが多い。
漁民が多く、ゲンテデマ(海の民ゲンテ・デル・マール)と自らを称する。
穏やかで力も弱い為にヴェルデ・ティエラの社会に溶け込み、ティエラは彼等をガマナ族と呼ぶ。


8. ヴェルデ・ティエラの部族

オルガ族
アカチャ族
アケチャ族
その他


9. 砂の民

部族ではなく、ヴェルデ・シエロの存在を異人種に知られないように闇の世界で活動する人々。部族はバラバラだが、選考基準はナワルがピューマであること。
所謂「殺し屋」。
大統領警護隊に匹敵する情報網を持っている。”耳”と”目”と呼ばれる情報収集を司どる”ティエラ”を各自持っており、”耳”と”目”は自分達が操られているとは知らずに情報を集め、”砂の民”に報告する。無報酬だが、”砂の民”の守護を受けているので身の安全は保障される。





空の緑 用語集 5

 人間の呼称


1. ヴェルデ・シエロ

「空の緑」。 中米セルバ地方に古代文明を築き、紀元前に既に滅んだと言われる種族。
特殊な脳の働きで所謂「超能力」を使ってセルバ地方を支配していたと言い伝えられる。
古代遺跡には、頭部に翼がある姿で彫刻が残される。(ケツァル少佐は、「そんな翼が頭に生えていたら化け物だと思う」と言った。)
7つの部族に分かれ、それぞれ微妙に使える能力の種類や強さが異なった。
絶滅したと言われているが、実際は細々と生き残っており、セルバ国民の中に混ざって暮らしている。セルバ人の土着信仰の「神」であり、セルバ共和国はカトリック教徒の国と言う建前だが、市民は災難に遭ったり災害が来ると”ヴェルデ・シエロ”に祈る。国民の中には実際に”ヴェルデ・シエロ”が生きていることを知っている人もいて、みだりにその名を口にすることはタブーとなっている。


2. ヴェルデ・ティエラ

「地の緑」。ヴェルデ・シエロから見た普通の人間のこと。本来はセルバ先住民のことを指していたが、現在はヴェルデ・シエロでない全ての人間を指す言葉になっている。
セルバ共和国にはヴェルデ・シエロの子孫がヴェルデ・ティエラと混血して残っていることが多い。見た目は普通の中米先住民の顔をしている。また、白人との混血メスティーソの割合が純血種を上回っている。
ヴェルデ・ティエラも地域毎に多くの部族に分かれているが、近代化が進んで都市部では伝統的文化や言語が消えつつある。


3. 出来損ない

ヴェルデ・シエロとティエラ(広義の意味で)の混血の人々を指す。
気の制御が親やママコナから教わらなければ出来ないので、純血種のヴェルデ・シエロが軽蔑の意味で用いる蔑称である。
”出来損ない”は超能力を持っているミックスを指し、”心話”や夜目を使えないミックスはただの”ヴェルデ・ティエラ”と見做され、”出来損ない”とは呼ばれない。


4. 純血種

100パーセント”ヴェルデ・シエロ”の人。
広義では、複数の部族の血筋を引いている人も含め、狭義では単一部族の血統しか認めない。
従って、純血至上主義と言う右派も二つに分かれ、狭義の極右は”出来損ない”の存在を認めようとしない。身内でも異種族との婚姻で生まれた子供を殺してしまう極端な過激思想を持つ。


5. メスティーソ

白人とアメリカ先住民の混血の人々。


6. サンボ

アフリカ系とアメリカ先住民の混血の人々。


7. ムラート

アフリカ系と白人の混血の人々。




2022/02/24

空の緑 用語集 4

  ”ヴェルデ・シエロ”の超能力


16. 気

オーラ、つまり霊的エネルギーのこと。気の大きな者ほど各能力の威力が強い。
しかし”ヴェルデ・シエロ”の気は独特の波長をしているので、一般の人間や動物は本能的にそれに対して不安を感じる。それ故に”ヴェルデ・シエロ”は赤ん坊の時にママコナから気を抑える方法をテレパシーで学ぶ。しかし異人種の血が入るミックスはママコナの言葉を解せないので、気を抑制出来ないまま成長してしまい、しばしば人間社会の中で孤立してしまう傾向がある。大人になってしまうと抑制方法の習得に時間がかかる為、ある種の麻薬効果がある抑制タバコと呼ばれるタバコを吸う習慣が身に付く。


17. 封印

生まれて間もない赤ん坊の超能力を封じて使えなくしてしまう術。これをかけられた”ヴェルデ・シエロ”はかけた人から術を解いてもらわない限り、成長しても心話と夜目しか使えない。かけられる人は直系の親又は祖父母のみ。
しかし、封印をかけられた人から生まれる子供には影響がない。


18. 憑依

禁断の術。己の肉体を捨てて他の”ヴェルデ・シエロ”の肉体に魂が移動する術。元の体に還ることは出来ない。憑依された者は己の肉体を他人の魂と共有することになる。憑依した者は本来の能力を使えるが、同時に宿主に己の思考を全て読まれてしまう。宿主の同意がなければ憑依は出来ない。


19. 予知

未来に起きる出来事を視ることが出来る力。これは古代のママコナだけが持っていた。古代のママコナはグラダ族の女性のみに資格があった。


20. 五感

”ヴェルデ・シエロ”の五感は、ほぼジャガーと同じ。

空の緑 用語集 3

 ”ヴェルデ・シエロ”の超能力


10. ナワル

ジャガーやオセロット、マーゲイなどのネコ科の動物に変身する能力、または変身した姿を表す言葉。
ナワルを使えない”ヴェルデ・シエロ”は”ヴェルデ・シエロ”にあらず、と言われる神聖な能力。
ナワルを使える”ヴェルデ・シエロ”は”ツィンル”(人)と呼ばれる。使えない者を人扱いしない思想が窺え、若者達は”ツィンル”と言う単語を使いたがらない。
ナワルは純血種なら成年に達する頃に自然に変身出来るようになるが、異人種の血が入ると精神的に大きなプレッシャーを与えられなければ変身のきっかけが掴めない。また、超能力の強さによってナワルの大きさも変わる。強い力を持つグラダ、ブーカ、オクターリャ、サスコシ、マスケゴ族はジャガー、カイナ族はオセロット、グワマナ族はマーゲイと認識されているが、個人差があるので必ずしもそうなるとは限らない。また、部族に関係なく稀にピューマに変身する者が生まれる。
男性のグラダ族のナワルは黒いジャガーである。
滅多に生まれないが、白い体毛のナワルを持つ者もいる。古代、白い動物は「聖なる生贄」として神に捧げられていたので、現代でも白いナワルを持つ者は決して他人に己のナワルを見せない。
”ヴェルデ・シエロ”は成年になったことを証明する成年式で親、部族の長老、族長の前でナワルを披露する。その為に、長老会は全国の”ツィンル”を把握している。もし長老会に存在を知られていない”ツィンル”がいれば、異端と見なされ、”砂の民”の狩りの対象とされるので、親は必ず子に成年式を受けさせる。
ナワルは全身の細胞を変化させるので、変身を解いて人間に戻ると酷い疲労感に襲われ、丸一日眠りこけてしまう。





11. 念力

特に名前がついていない能力で、物体を手を触れずに動かす力。幻視と同様に誰でも使えるが、親に教えられて使えるようになる能力。動かせる物体の大きさは能力の強さに比例する。時に爆裂波と共に使用されることもある。


12. 読心

相手の目を見て思考を読み取る一種のテレパシー能力。
心話が思考のやり取りが出来る能力であるのに対し、読心は一方通行である。従って、相手を尋問する場合に使用する。或いは相手が普通の人間である場合に用いる。セルバ人は”ヴェルデ・シエロ”に心を読まれることを恐れて、昔から会話相手の目を見ないマナーを作り上げた。
相手に不意打ちで名前を呼んで返事をさせ、目を合わせて強引に読心を行うことを「心を盗む」と言う。この場合は相手の思考全てを読み取ってしまうので、読まれた側は急激な負担を脳に与えられ、気絶する。


13. 感応

”ヴェルデ・シエロ”は遠くにいる仲間とテレパシーで対話する能力を持たないが、危機に陥った時や仲間に呼びかける時に精神波を出す。呼ばれた側はそれを感じ取るが、返事は出来ない。


14. 霊視

”ヴェルデ・シエロ”は死者の霊を見ることが出来る。但し、霊と対話する能力はない。この能力は主に女性に多く発現する。
 悪霊や神霊を見たり、捕まえたりする能力は、修行を積まなければ身につかない。


15. 守護

”ヴェルデ・シエロ”が自分達の存在意義として最も重視する能力。
文字通り、災害から人や町を守る。具体的に何をすると言うものではなく、漠然と悪いことが起こらないように守る、と言う曖昧なものだが、一般のセルバ人が”ヴェルデ・シエロ”に祈るのは正にこの力を求めているからである。

空の緑 用語集 2

  ”ヴェルデ・シエロ”の超能力

7. 爆裂

”ヴェルデ・シエロ”版かめはめ波。
物体を破壊する恐ろしい衝撃波。人種、物質の種類に関係なく有効な攻撃方法。
人間を含む生物がこの攻撃に直撃されると細胞が破壊され、死に至る。それ故に、掟によって人間に対して用いることを厳しく禁じられており、例え殺害に至らなくても意図的に使用すると極刑に処せられる。
大統領警護隊は爆裂の攻撃を受けた時の防御の仕方を隊員に教えているが、実際に攻撃を受けなければ習得したか否か判断出来ないので、大変難しい修行である。軍事訓練の際にも使用するが、油断すると大怪我を負うので、負傷した場合の対処法を習得している指導師と呼ばれる資格を持つ隊員が必ず立ち会い監督する。
爆裂による負傷は細胞そのものに損傷を受けるので、見た目の傷が完治しても長期に渡って苦痛が残り、治らない場合もある。”ヴェルデ・シエロ”は自力で傷を完治させる速度が速いが、爆裂による傷は自力では治せないので、必ず指導師に細胞の崩壊を止めてもらうことが先決となる。この指導師の治療を「祓い」と呼び、爆裂による細胞の負傷を「呪いが残る」と言う。
グラダ族の男性の気力は強大で爆裂の威力も半端なく、コロシアム程度の大きな建造物を一人で破壊することが出来る。その力に耐え得るのは修行を積んだブーカ族、オクターリャ族、サスコシ族だけだと言われている。
なお、己が発した爆裂波を相手に跳ね返され、自ら負傷する場合もある。
また、敵が放った銃弾や砲弾を空中で破壊するのも爆裂波である。
兎に角、軽々しく使用してはいけない危険な能力である。故に普通成年式を迎えていない子供には教えないし、軍隊と無縁な生活をしている人々は通常使わない。また親から教わることもない。一般市民として生きている”ヴェルデ・シエロ”は使えないと言うのが常識となっている。但し、本来は自衛本能で発達させた能力なので、身の危険が迫った場合に無意識に使ってしまうこともある。


8. 空間通路

”ヴェルデ・シエロ”の目には空間に異次元の渦が生じているのが見える。大概は小さいので無視しているが、人が通れる大きさの渦があれば通路として利用する。通路には人間が進入出来る「入り口」と入れないが出ることは出来る「出口」がある。これらは常に動いているので、同じ場所に生じるとは限らない。「入り口」に入る時、行きたい場所を念じると瞬時にその場所へ「出口」が開き、移動出来る。但し、必ずしも希望の場所にドンピシャで行ける訳ではなく、微妙にずれたりするので、危険な場所に出てしまうこともある。複数の人数で同時に同じ「入り口」を使う時は、最初に入る人が「先導」となる。「出口」から出ることを「着地」と言うが、着地が上手くいくかいかないかは、先導者の腕次第である。
空間通路を利用する”ヴェルデ・シエロ”を目撃した人は、人間が空中で消えるように見える。また着地する瞬間を見ると、空中から突然湧いて出るように見える。その為、空間通路の使用には、目撃者となる人間がそばにいないよう確認しなければならない。
 ブーカ族は「入り口」を見つけるのが上手で、「出口」の作り方も上手だと言われている。
空間通路の出現は決して規則的なものではないので、通常の移動は普通の人間と同じ手段を用いる。 


9. 跳ぶ

時間移動のことである。
”ヴェルデ・シエロ”のタイムトラベルは、精神だけを異時間帯へ跳ばすことを意味する。
歴史を変えてはいけないと言う時間移動の決まりを”ヴェルデ・シエロ”も固く守っている。
過去へ跳ぶのは簡単だが、未来へ行くのは体力と気力を消耗する。また未来を知ってしまうと歴史が変わると言う原則があるので、未来へ跳ぶことは禁止されている。
オクターリャ族は時間飛翔が得意で、精神だけでなく肉体も跳ばせる。

第11部  神殿        23

  一般のセルバ共和国国民は神殿の中で起きた事件について、何も知らない。そんな事件があったことすら知らない。彼等の多くは”ヴェルデ・シエロ”はまだどこかに生きていると思っているが、自分達のすぐ近くで世俗的な欲望で争っているなんて、想像すらしないのだった。  テオは、大神官代理ロア...