ケツァル少佐は仲間を3つのペアに分けた。
テオとロホは1組。神殿周辺の情報を集めると言う役目を与えた。テオは、己は白人だから難しいと抗議したが、無視された。ロホは親戚から当たって行きます、と答え、テオは彼が兄の本当の身分を知ってしまうのではないかと、ちょっと心配になった。
アスルとギャラガのサッカーペアは2組。グラダ・シティ市内から郊外まで医療関連の施設を調べて、ロアン・マレンカが治療を受けていないか探す。町医者や薬屋も含めると聞いて、アスルはバスコ医師の診療所を、ギャラガはカダイ師の薬屋を思い浮かべた。
少佐はデネロスを連れてエダの神殿に行ってみる、と言った。デネロスがちょっと不安そうな顔をした。一般人が近づけない神殿だから、大統領警護隊と言えども迂闊に入れないのだ。
「神官達はまだそこにいるのですか?」
彼女の質問に、少佐は自信なさげに頷いた。
「帰って来たと言う情報はまだありませんから、あちらでウダウダ会議をしているのでしょう。」
アスルは携帯で市内の地図を出した。
「私達は地区毎に順番に回ってみます。 ”ティエラ”の医者なら尋問は簡単ですが、一族の血が入っている医者はちょっと厄介です。」
「もし大神官代理が隠れて治療を受けるなら、”ティエラ”の医者の方が秘密を保てるんじゃないですか?」
とギャラガが先輩に意見した。アスルはムッとした表情で彼を見たが、反論しなかった。
「それは言えるな。難病なら、腕の良い医者にかかるだろうし、それなら”ティエラ”の医者の方が最先端の医療技術を持っているだろう。」
いかにも現代っ子の”ヴェルデ・シエロ”だ。
テオはロホを見た。
「俺達はどこから手をつけるんだ?」
ロホは考えた。
「私の家族から・・・一番秘密を抱えていそうですからね。」
テオは作り笑いをした。
「そうか・・・やっと君の家族を紹介してもらえるんだな。」